2011年1月25日火曜日

プロジェクトにおけるステークホルダーの重要性





朝礼ネタとしてメモ。


(毎度言いますが、まだ自分はディレクター経験が浅いので、レベルの低い事言ってます。あしからず。)





最近、WEBサイト提案において、プロジェクトのスタートの方から参加する機会が増えた。
これまでは営業、企画提案、要件定義といった所まではだいたい終わった時点で話をもらう事が多く、あとは作るだけ、という状態のプロジェクトにおいて制作ディレクションをする事が多かった。

だけど今後はこういった、プロジェクトの最初から最後までに関わる事が増えていくと思うので、俺なりのプロジェクトマネジメントを長い時間をかけてじっくり考えていこうと思っている。


で、最近(実際の事例も含め)意識する事が多いのが、
「プロジェクトにおいてステークホルダーの存在を意識する」
という事だ。


ステークホルダーの意味としては「利害関係者」なのでちょっと広くなるが、簡単に言うと、「プロジェクトにおいて重要な意思決定を持つ関係者」という事になるだろう。


で、それが何かというと、世の中の全ての「プロジェクト」というものは、最終的に誰かしらがなんかしらの意思決定を行う事で、プロジェクトとして成り立つのである。

それが小さいワンマン会社であれば社長の一言で決まる事もあるだろうし、ある程度の規模の会社であれば、担当者の上に課長・部長・専務といて、それらの壁を乗り越えてきた企画書に、最後に社長がOKを出す、といいった意思決定フローを取る場合もあるだろう。


で、プロジェクトにおいてよく起こりがちな事として、
「ステークホルダーによるひっくり返し」
があると思う。(というかよく耳にする)


何かと言うと、それまで担当者と円滑に進めてきたプロジェクトが、最後の方になって後ろに潜んでいたステークホルダーによって根底からひっくり返される、という事である。


いったいこれまでの担当者との打ち合わせに何の意味があったんだろう、と悲しくなってしまうだろう。



という事で、俺として何が重要か、という事を纏めてみようと思う。



■1、担当者のプロジェクトにおける決定権の任され度合いを知る


その担当者が会社からどれだけの意思決定権を持たされているのか、任されているのか、その度合を見極める事が必要だと思う。


社長に「この案件は全てお前に任せた!」と言われている「当案件最高意思決定者」なのか、なーんにも決められない「ただの情報提供者」なのか、それとも意思決定権は任されていなが、ステークホルダーとの橋渡しを行える「代理人」なのか。


まず、一つ目のような、そのプロジェクトにおける最高意思決定権を持つ担当者なんて、はっきり言ってほぼありえないと思う。

たとえプロジェクトの開始時に、社長が「お前に任せた!」と言った所で、重要なポイントでは色々言いたくなるだろうし。
かといってその担当が、「自分に任せてくれましたよね?社長は黙ってて下さい」などど言えようがない。
じゃあ書面で残せば?という事になるかもしれないけど、社内でそんなドライなやりとりを交わせるわけもない。

これはその担当者の力量というより、その会社の体制・社風や上司のレベルによると思う。


で、次の「ただの情報提供者」というケースが結構多いと思う。
もちろんその会社の社員なのだから、会社の事は説明できる。
こちらからの提案に対して会社としての判断もできる。
そういう担当者との打ち合わせはだいたい円滑に進む。

ただ問題は、「提供」と「判断」はできるが、「決定」が出来ないのである。
こういった担当者だと、確実に後でステークホルダーによるひっくり返しが起きる(だろう)。


では現実的な理想の担当者がなんであるかと言うと、最後の「代理人」なのだと思う。

もちろんイチ担当者が最終意思決定が出来るとは思っていない。
最後に判断を下すのは社長なのだから。

でもその現実の中で、プロジェクトの中での重要な意思決定フェーズにおいて、的確に社内のステークホルダーに対して意思決定の確約を取れる、そういった提案者とステークホルダーとの意思決定の橋渡しを行える代理人としての担当者が必要なのだと思う。



と、いったような、担当者の性質を見極める事が重要だと思うのだが、見極めた所で、だいたいの担当者は「情報提供者」である事が多い(と思う)。



ではどうすれば良いか。




■2、プロジェクトにおけるステークホルダーによる意思決定をコントロールする



結論を先に言うと、ステークホルダーとこちらのWEBチームでの打ち合わせを最低でも2回1セット設定する事、である。


以前のブログ記事でも同じような事を書いたが、プロジェクトにおいて、いつどのタイミングでステークホルダーに対して状況説明と意思決定を求めるか、その設定がとても重要だと思う。

前の記事では、案件の開始時に客のトップに対してこっちも上の人間から説明してしまう、という話を人から聞いたと書いたが、もちろんそんな簡単に行く案件ばかりではない。

プロジェクトが走り始めたタイミングでいきなり向こうのトップに説明しても、なんにも形になってない以上、「ある程度詳しく固まってから説明してくれ」と言われてしまうのが関の山だと思う。
(超具体的な例として、トップの構成要素はパワポじゃなくてデザインで見せてね、とか)



実は最近参加したプロジェクトで良い例があったのでここで事例として紹介。


まず、プロジェクトが始まった時点で先方に担当チームが発足。
そのチームとこちらの制作チームで打ち合わせを行う事になったのだが、その際のプロジェクトスケジュールとして、
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1、チーム打ち合わせを何度か行い、要件を詰めていく
2、ある程度形になったら先方担当チームが社内経営会議にかけ、
意思決定を求める
3、その会議の結果をこちらの制作チームと先方担当チームでの打ち合わせで
FBとしてもらう
4、ステークホルダーを含めたコアメンバー打ち合わせを関係者全員で行い、
最終決定をいただく
5、後はそのまま制作フェーズに突入!
-----------------------
という形で考えていたのだが、ここで大きな落とし穴があった。

というのも、こちらの制作チームとしては「2」で挙げた社内経営会議で、こちらの提案にズレがあるのであればそこで必ずFBをもらえ軌道修正が入るだろうと期待していたのだが、
実際にはあまりFBはいただけず先方担当チームからも「あまり意見は出ませんでした」としか言われなかった。


そこで「順調に進んでいる」と思ってしまったことが落とし穴。


だがその結果コア会議にかけた時に、ステークホルダーの存在により、大きく軌道修正する必要が出てしまった。
そして、軌道修正をかけた提案内容を再度ステークホルダー達に説明しないといけないので、急遽関係者打ち合わせが追加された。



ここでの学びを考える際に重要なのは、誰かが悪いのではないという事。


先方担当チームも自分達がしっかり決めるつもりで望んでいたと思う。
社内経営会議では、誰もが理解した上で特にFBはないと思っていたと思う。

ただ、問題は、
先方担当チームでは100%こちらの提案内容をステークホルダーに伝えられないという点
にあると思っている。

なぜならば、こちらは一応WEBのプロなのだが、向こうの担当者がプロジェクトの全貌と、その根底・仕組みも全て理解した上で提案内容をステークホルダー達に100%伝える事は、相当ハードルが高いと思うからです。



と、長々と書いてきたが、改善点としてはいたってシンプルで、

重要な意思決定が発生するマイルストンにおいて、先方のステークホルダーを交えたプレゼンをこちらの主力メンバーをもって行い、そこでのFBを反映したものに対して最終意思決定を行う同メンバーMTGを最低限2回1セット設定しておく。

という事に他ならないと思う。

今回の事例の中では、4でひっくり返された内容に対し、軌道修正&最終意思決定を求めるため、4−2としてのコアメンバー打ち合わせを追加したが、それでは3の打ち合わせが無駄になったり、全体的な工数が肥大化してしまうだけなので、実際の理想としては、2の先方社内経営会議においてこちらの制作チームも参加して直接説明する事であったのだと思う。



いやー、全てには必ず学びがありますね。日々精進です。



・・・なーどど書いてみたが、「言うは易く行なうは難し」とはこの事だなぁ(笑)。